高田寺は、平時忠の末裔と伝えられる上・下両時国家の菩提寺である。本尊毘沙門天、左の仏間に釈迦・阿弥陀・薬師如来の三仏が安置されてある。毘沙門天は、四天王の一つで、北方の天主として、古来、北方鎮護・仏法護持の守護神として信仰されている。「仏説毘沙門天王経」に、毘沙門天王は、過去仏・現在仏・未来仏に「我今帰依」とあり、ここに安置されてある三仏も、これに基づく信仰の所産であろう。薬師・釈迦如来像の台座には、それぞれ木製修理札が挿入され、時国又七郎が延宝8年(1680)に父母の菩堤のために修理したことが知られる。阿弥陀如来像も同様と思われるが、延宝の修理札を欠き、嘉永6年(1853)の修理札を有する。3体とも、表面の彩色が剥落しているため寄木や木割が明暸に観察できる。用いられている尺度や寄木法、さらには衣紋などに、それぞれ若干の差違があるが、いずれも平安時代後期の穏やかな作風をもつ。昭和60年「石川の文化財」より
2013-01-13(Sun) 22:44 | URL | #- [ 編集 ] ▲